京都の桜が、早くも見頃を終えてしまいました。

今年は、お花見の時期がとても短かった印象です。満開になるのを待ちわびて、青空の下でピクニックをしたのが、先週土曜日のこと。その後8分先から満開へと 花々が一気に向かおうとした矢先に、春の雨と突風がやってきました。

月曜日は、小学校の入学式もあり、ピカピカの新入生の姿を見かけることしきりでしたが、この日もあいにくのお天気。本降りの雨にたたかれた花は、次々と舞い降りて、桜の木のふもとに 見事な花びらの絨毯をこしらえていました。

お花見シーズンを 満喫できなかったのは、残念ですが、桜が散る時期になると、ひとつのエピソードが思い返されます。

2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールにて、日本人史上初優勝の快挙を上げ、一躍その名を知られるようになったピアニスト 辻井伸行さん。

以前、彼のお母様から直接伺ったお話によりますと、辻井伸行さんのお花見の流儀は、”桜の花びらが舞い降りてくる様子を、肌で感じること” にあるそうです。だから、辻井伸行さんは、桜が満開の時期よりも、むしろ桜が散る時期の方が好きだ、とのことでした。

様々な情報を視覚に頼りすぎている私の中では、お花見=桜の花を(目で)愛でる、というイメージが先行していたのですが、いろいろなお花見の流儀があるのですね。彼のように、五感を活性化させて、わが国固有の風土がもたらす 春夏秋冬の恩恵を感じとる繊細さを、私自身も、もっと磨きたいものだと思ったものです。

それにしても、昨今の気候は、日中20度を超える陽気になったかと思えば、朝晩は10度を下回る冷え込み。

季節の変わり目、みなさまもくれぐれもご自愛下さいませ。