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舞台は信繁の幼少期に遡る。

真田家が使える主君武田家は、
激動の戦国時代の中にあって、岐路に立たされていた。

織田が勢いを強める中、木曽義昌(きそよしまさ)をはじめ、
次々と寝返る者があらわれた。

そして、
真田家もまた未曾有の危機を迎えようとしていた。

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若武者信繁

時は1615年、豊臣家を滅亡に追いやった「大阪夏の陣」で
徳川家康を自害寸前にまで追い込んだ一人の武将がいた。

その武将こそ、真田源次郎信繁(さなだ げんじろう のぶしげ)、
通称 幸村(ゆきむら)である。

舞台は、この戦から33年遡る
戦国時代の真っただ中。

信繁16歳、
のちに「日の本一の兵」(ひのもといちのつわもの)と
呼ばれて名をはせた武将が、
好奇心旺盛な若武者だった頃より始まる。

窮地の勝頼

現在の山梨県にあたる甲斐の国の名門
武田家は、名将信玄の死後、その息子の
勝頼(かつより)が家督を継いでいた。

当時の情勢は厳しく、
北には上杉、東に北条、西に織田、南に徳川と
有力大名に囲まれていた。

勢力挽回の機を伺う勝頼を襲ったのは
チャンスではなく、最大の危機だった。

木曽義昌(きそよしまさ)の寝返り。

信玄の娘婿(義弟)であった木曽義昌は、
織田信長に加担。

その結果、
西の守りを失った武田の領地へ
信長は一気に攻め上がった。

勝頼は、諏訪・上原城に武将たちを集めて
軍議を開くも、紛糾。

新たな味方の離反が明らかにされる中、
打開策が見つからない。

そこで勝頼が目をとめた一人の武将がいた。

「安房守(あわのかみ)、お主はどう思う?」

勝頼が意見を求めたのは、
真田安房守 昌幸(まさゆき)。

昌幸は信繁の父で、のちに戦国きっての名将と
呼ばれるようになるが、
この時はまだ武田家の一部将。

昌幸は、いったん新府に引くことを提案、
潮を読み力をためることを進言し、
勝頼はこれにうなづいて応じた。

その頃信繁は・・・

その頃、信繁は、甲斐との国境に
布陣する敵の状況を視察していた。

家来の静止も聞かずに深入りしすぎて敵兵に
見つかり、危機一髪で逃げ出し、
諏訪から新府戻った信幸に
徳川が国境に迫っていることを報告。

しかし、
信繁の兄で摘男の源三郎信幸は、
「誰の許しを得て、さように危ういところまで出向いた。
勝手なまねをするな!」
と信繁を一喝。

武田の存亡をかけた危機を迎えようとしている
重要な局面で、無用なトラブルを防ぐために
慎重になるよう促したのだった。

これに対して、
信繁は、「皆、西の織田勢ばかり気にしているので、
南のことが心配になったのです」と釈明。

実は、それこそ父昌幸が抱いた危惧だった。

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武田家の滅亡を暗示

戦国大名たちは、家臣の裏切りを防ぐため、
その家族を人質として預かり、城下に住まわせていた。

昌幸も新府に屋敷を構えていて、
昌幸の妻・薫と、母・とりが暮らしていた。

昌幸と久しぶりに顔を合わせたのに
薫の表情は暗い。

この日、甲斐の新府(しんぷ)城にいた
木曽義昌の母と子ども達の
磔(はりつけ)の刑が執行された。

昌幸は2人の息子たちを大事な話があると
別室に呼び口火を開いた。

「武田は滅びるぞ」

織田勢力が勢いを増し、昌幸は、
新府は予想より早い織田の侵攻に耐えられそうにないと判断。

「わしはこの城を捨てることにした。
わが真田家にとって未曾有の危機。
この苦難、われら一丸となり、
どんなことをしてでもこれを乗り切る。」

そう言い切った。

それからまもない2月25日、
勝頼の御一門衆筆頭だった
穴山梅雪(ばいせつ)が織田に寝返った。

勝頼は、急きょ新府城に
昌幸、小山田信茂ら重臣たちを招集して
軍議を開いた。

様々議論が交わされる中、昌幸は岩櫃城へ
身を寄せることを勝頼に提案。
勝頼の心は昌幸の熱意に動かされ、感動すら覚えていた。

翌朝、昌幸は真田屋敷を出発し、岩櫃城に勝頼を
迎える支度を始めた。

しかし、
新府城では勝頼を上野に行かせまいとして、信茂らが
真田はあくまで信玄公の家来で、
武田家の代々の家臣ではないなど
根拠のない理由を並べ立てていた。

ついには、
信玄の威光をとどめる甲斐の地を
見捨てるべきではないといさめられ、苦悩する勝頼。

勝頼は、最後に
甲斐を捨てることはできないと打ち合け、
岩櫃ではなく、岩殿城へと向かう意向を伝えた。

勝頼は、人質を免ずる証文を信幸に差し出した。
また、小山田家の人質を解き、
茂誠に嫁いだ松も岩櫃に連れていくよう気遣った。

さらには、勝頼の手勢百人ほどを
道中の護衛につけてくれると言う。

信繁は、岩殿へ向かう勝頼を止めようとした。
信幸は、勝頼が申し出てくれた手勢百人を岩殿へ
連れてもらうようお願いした。

「お主たちだけで、大丈夫か?」
逡巡する勝頼に信繁が応じる。

「そうやすやすとは討たれませぬ」

「真田・・・よき一族じゃ」
勝頼はそうつぶやいた。

翌3月3日の朝、
勝頼の一行は新府城を出発し、岩殿城に向かった。

勝頼は淡々と馬を勧めた。
そこに、諏訪・高島城が、織田軍の攻撃により
陥落したとの知らせが届いた。

岩殿が近づくと、信茂は迎えの支度をすると
勝頼に断りを入れて、先を急いだ。

そして、たどり着いた笹子峠の関。

木戸を通った信茂は、あとに続く
茂誠を振り返って言い放った。

「木戸を閉じよ。御屋形様を通してはならぬ」

小山田信茂は、織田勢に寝返ったのだった。

衝撃の事実に、
勝頼の一行には動揺が走った。

新府城は燃え、岩殿城に入城できないなら、
勝頼に行く当てはない。

「・・・もうよい」
勝頼は馬首を巡らせた。

武田家の命運が尽きようとしていた。

そして、織田信長ら戦国大名がしのぎを削る
新たな動乱が始まろうとしていた。

戦国という大海原に「真田丸」という
一艘の小さな船が、
今まさに漕ぎ出そうとしているのであった。

第2話「決断」に続く

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