2018年7月5日。
集中豪雨の到来。
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後に、西日本を
中心とした全国各地で
大きな爪痕を残すことになる
集中豪雨災害。
そのリスクと
関連周辺地域の動向は、
当初京都を中心とする
近畿圏で注目され、
多くの方が
眠れない夜を過ごすことなりました。
突如として
京都に襲来した大雨は、
次第にまとまり、濁流となって、
みるみる川に流れ込みました。
目次
なぜ嵐山渡月橋の氾濫決壊のリスクが高まった?
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180705-00004176-weather-soci.view-001
台風の影響による雲がかかり、
断続的に強い雨を降らせた結果、
7月5日15時までの
24時間降水量は、
京都・京北で196.0mmに到達。
この後も、雨は降りやまず、
結果的に、
通常の7月1か月分の2倍量に
相当する雨が、わずか2日間に
降り注ぐこととなりました。
嵐山渡月橋河川氾濫目前に
出典:https://twitter.com/makotoitizu55/status/1015100123787825152
観光名所として
名高い嵐山では、
濁流が渡月橋を襲いました。
建物のすぐ足元まで
押し寄せる泥水。
●嵐山は浸水したみたい😭
●嵐山の方氾濫した
●京都桂川が氾濫して嵐山では被害が広がり京都市では避難が10万人を超えました。 特に避難をされている方々にはちょっとした情報が不可欠です。 これからも的確な情報をお願いします。
渡月橋は、
夕刻より通行止めとなり、
周囲の店も閉店。
その勢いは、
夜になっても、
とどまるところを知らず、
一時は、
泥水が道路にまで広がり
限りなく街に迫る勢いをみせました。
もう、あかん・・・
誰しもが、
内心そう思っていたのではないでしょうか。
出典:https://twitter.com/Keishinsanjo_2/status/1015141046425042944/photo/1
緊急避難指示が
次々と発令される中、
嵐山・渡月橋が危機的状況に
直面しているにもかかわらず、
他線が運転を見合わせる中、
気丈夫に運行を続ける
嵐山線に驚きの声があがっていました。
京都桂川が危険水位を超過、淀川水系氾濫の恐れ
夜になり、
ついに桂川が
危険水位を超過。
様々な反応がリアルタイムで飛び交いました。
●この調子で降ったら桂川氾濫間違いなしやな〜 嵐山沈む〜5年前の悪夢再び
●桂川あかーん頑張れ…桂川…
●さっきから、緊急速報メールが鳴りっぱなし。桂川がかなりヤバげ。
●バイト終わりに見に行ってんけど桂川もうギリギリや… 明日もこれやったら100氾濫する
●桂川氾濫しそうなのに阪急遅れないのか
●今日一日中、iphoneさんから緊急速報が鳴っていた訳だが、数えたら先程ので20回。桂川頑張って欲しい。
●桂川が危険水位、鴨川が警戒水位、その2つが合流して淀川へ至るわけだから、とんでもないことなりそう。
●桂川が氾濫危険水域に達したって災害メールきたよ。 西京区、桂川近辺の人、決壊と浸水のニュース注意してやー。
●桂川周辺民逃げてー
●桂川氾濫危険水位来たらしい。やばくない?雨めっちゃ降ってきたで。 どこに避難するんや!!3階に行くしかない
嵐山渡月橋の決壊洪水の悪夢再び
嵐山は、
5年前の2013年にも
氾濫し、周辺の建物に
被害をもたらしました。
その後も、
大雨がありましたが、
裏方の力持ちとして
活躍してくれていたのが
日吉ダム。
かなりの水をためこみ、
少しずつ下流に流すことで、
水流のコントロールを行い、
河川の氾濫防止に
貢献していたのです。
日吉ダム頑張ってるけれど雨量多すぎ
ところが、
2018年7月5日の夜時点で、
日吉ダムによる「防災操作」
と呼ばれる水流コントロールを
行っていても、
亀岡市保津橋地点の
観測水位は、
4.45メートルに到達。
氾濫危険水位は
「4.0メートル」。
絶え間なく降り続く
雨の勢いがあまりにも激烈で、
日吉ダムの貯水努力をもってしても、
氾濫危険水位を既に超過する
状況となっていました。
しかも、
天気予報では、
その後も、
1時間に100mmに達する
豪雨の予測。
そして、
もし、日吉ダムが、それまでに
流れ込む水を貯め込まずに、
そのまま下流に流していたならば、
川の推定水位は、
6.11メートルとの試算。
とっくに
危険水位を振り切って、
災害をもたらしているであろう
川の水位は、
日吉ダムが稼働することで、
川の水位は、1.5メートル以上
低く抑えられているにも
かかわらず、なお
氾濫危険水位を超えるという、
かなり追い詰められた状況に
ありました。
桂川歴史的な氾濫になる恐れは?
事の行方を見守る多数の人々の、
祈るような気持ちとは裏腹に、
降りやまない大雨。
そして、
淀川水系の河川は、
夕方以降、
次々と氾濫危険水位を突破。
●7/5 18:30/淀川水系姉川では、氾濫危険水位(レベル4)に到達し、氾濫のおそれあり
●7/5 21:40/淀川水系 桂川中流・園部川では、当分の間、氾濫危険水位(レベル4)を超える水位が続く見込み
●7/5 22:15/桂川下流では、氾濫危険水位(レベル4)に到達し、氾濫のおそれあり
氾濫しそうになっているのは、
嵐山渡月橋だけではありません。
四条大橋の鴨川
京都の繁華街
四条通りのすぐそばでも、
増水した川面の濁流が
すぐそばまで迫りました。
通常であれば、
川床で賑わうこの時期、
いく組ものカップルが
佇み涼む名物の川辺も、
すっかり
川の中に埋もれていまい、
見る影もありません。
淀川
こちらは、
23時前の時点の
淀川です。
まるで
幅広の生き物のように、
うねりながら、
夜の灯を遠くにまといながら、
音をたてて下っています。
鴨川をはじめ、
淀川水系の上流で
危険水位を超える状況が
生まれているということは、
当然のことながら、
下流域にその影響は及びます。
久世橋、羽束師橋、淀、納所周辺
羽束師橋も、
かなり水位が上昇しています。
川沿いに走る
細い道とほとんど同じレベルまで
届こうとしています。
早く避難して下さい。
●あかん。避難勧告。いつもどんなギリギリでもだいじょぶやーゆう父が、川見に行ってやばいっつってる。この時間でこれやで?昼まで降り続けるんやで?やばい気いしかせーへん。 2階にーー、、とかゆー前に今のうちに避難すべきかもしらん、、 羽束師橋のぎりぎりまで来とるらしい…((((;゚д゚)))
●納所や羽束師とか淀競馬場付近の地名も見えたので結構大事かも。そろそろ疎水への流量を増やすはず
●5年ぶりに桂川がヤバそう… 前回は亀岡が駅ごと死亡、嵐山渡月橋ごと死亡、久世橋ヤバイ、羽束師冠水だったな。 結局朝電車走ってなくて、やや小雨になった中チャリで出勤途中に久世橋で絶句したんだよな。
ちなみに、
こちら(↓)の写真が、通常時との比較写真画像。
出典:https://twitter.com/s_isssy/status/1015219642237792257/photo/1
いかに、
川の水かさが増え、
堤防ぎりぎりラインまで
満ちた状態に迫ったかが、
おわかりになるかと思います。
手前にある堤防は、
まさに周辺住宅街とを隔てる防護壁。
住宅街は、坂道を下った
低い位置に
密集して建てられています。
そのため、
自衛隊への緊急応援が要請され、
川周辺の夜を徹しての警戒と、
土嚢を積むなどの防災活動も
実施されました。
万が一、
ゆるんだ堤防が
一か所でも壊れたならば、
そこから、一気に
川の水が流れ込み、
浸水するリスクもあったかと思います。
八幡御幸橋周辺も豹変
春には桜並木で賑わう
八幡の駐車場は、既に水没して
すっかり泥水の下。
日吉ダム放流異常洪水時防災操作発動
淀川水系桂川の
水資源機構日吉ダム
(京都府南丹市日吉町)流域では、
結果的に、
前線の活動に伴う降雨により、
2018年7月3日22時から
同月6日4時までの総雨量が
314mm(ダム流域平均雨量)
もの雨量に達しました。
この洪水に対して、
日吉ダムでは7月4日17時から
防災操作を開始。
ダムへのこれまでの最大流入量は、
5日23時50分に
毎秒1,258立方メートル
となりましたが、
最大放流量を
毎秒150立方メートル
と一定量にしてきました。
数値上の計算では、
最大で、88%のカットを
果たしたことになります。
一方、日吉ダムが貯水を続けた結果、
6日4時05分には、
異常洪水時防災操作開始水位
(200.2m)を超過。
これ以上貯留を続けると、
ダムの洪水の貯留量が洪水調節容量を
使い切って、
満水位を超えるおそれが出てきました。
そのため、日吉ダムは、
4時05分に
異常洪水時防災操作を開始。
ダムの稼働以来初めての運用となる
クレストゲートの開放が行われました。
●嵐山の道路が一部冠水
●日吉ダムが満タンになって、
凄い勢いで放流開始
この2つの事実から、
2013年の嵐山浸水の悪夢再びは
ほぼ避けられないと思った方は
多いのではないでしょうか?
ところが、
他府県での被害が相次ぐ中、
嵐山は、致命的な浸水から守られました。
翌朝の渡月橋。
出典:https://twitter.com/oka_photo_/status/1015328680451530752/photo/1
濁る水と対峙しながら、
立ち込めるもやの中に
浮かび上がる
繊細なラインの橋の欄干。
そして、
桂川では、こんな一枚も
おさめられていました。
出典:https://twitter.com/tkw0v0wkt/status/1015194171064311808/photo/1
あまりの異常事態に
心配や不安が募る中、
たんたんと運行される鉄道や、
流されずに耐えしのぶ渡月橋の姿を
見守り、励まされた人もいたようで、
リツイートされ、
多数の応援の声も寄せられていました。
ちなみに、
上記の画像は反響が多く、
阪急電鉄からの返答も。
写真に続き、当時の状況について、
以下の説明も付記されていました。
阪急電鉄【公式】
@hankyu_ex
7月6日
その他
昨日の水位は、社内基準での警戒水位を超え、橋梁上は徐行での通過となっておりました。さらに水位が上昇していた場合は運転見合わせになっておりました。
上流にある日吉ダムを管理される皆様の巧みな放流量コントロールもあったのでは、と聞いております。
ありがとうございます。
氾濫浸水による大きな被害を回避できた理由は?
危機的状況を乗り越えた
渡月橋は、
2018年7月7日の朝には、
桂川の水位が下がり、
増水で隠れていた
橋脚の一部が見える状態になりました。
桂川周辺の近隣店舗への
浸水被害はなく、
被害は5年前の方がひどかった、
と口を揃える経営者の方々。
2013年の台風18号では、
上流の日吉ダムで
放流が行われた影響もあり、
決壊した堤防から水が街へ流入。
桂川が氾濫して、
土産物店等が水没するなど
被害が拡大しました。
一方、
2018年の大雨では、
日吉ダムはこれまでの
20年間に一度も明けたことのなかった
非常用のゲートを放水のために開放。
クレストゲートからは、
大量の放水が行われ、
その量は、通常時の6倍にものぼったと
言われています。
厳しい状況の中で、
管理責任者としての
判断を迫られ、対応された
日吉ダム管理署の
今井敬三所長。
2017年4月に所長に就任され、
今回の危機を絶妙な
コントロールで乗り切ったことへの
支持の声も多数見られます。
日吉ダムの貯水能力が
満杯に近づいた時を振り返っての
所長のコメントは、
次のとおり。
「ピークを迎えてそのときにはダムに貯める量がなくなってたので、入ってくる水の量と同じ量を(川に)流すことになりました」
(日吉ダム管理所 今井敬三所長)
しかしながら、
5年前に比べると、
2018年の豪雨では、
より被害が抑えられる結果となりました。
その理由について、
川河川事務所は、
5年前の被害を受けて、
桂川で実施されたいくつかの対策を挙げます。
●渡月橋の近くで川底のゴミや土砂を撤去
●水をせきとめていた井堰をとりはらい、川を流れやすくした
●川底の土砂の撤去により水深も深くなっていた
特に、
6号井堰の撤去は、
効果が大きく、工事前の
試算によると、6号井堰を撤去した後の
河床変動解析による長期的な評価結果では、
渡月橋下流~6号井堰付近で
最大1.7m程度の河床低下が想定される、
とのことでした。
実際に、
過去の災害時の現場写真を
確認すると、川床安定と
水流調節を目的として創られた
井堰が、大雨時には障害となり、
逆に、川の水の通りを妨げて、
水面を上昇させる要素と
なっていたことがわかります。
出典:http://www.kkr.mlit.go.jp/yodogawa/activity/comit/arashiyama-workshop/oshirase/anounce2.html
水害の教訓から得た
複数の対策を施した結果、
日吉ダムが解放した大量の放水
にもかかわらず、
氾濫を防ぐことができたと
考えられているようです。
今後も緊急時には早めの避難と安全確保を
ひとまずは
危機を脱したかに見える
淀川水系の周辺地域。
しかしながら、
近年のリスク認識について、
俯瞰的に見た場合、
・天変地位による自然災害、
・気候変動に伴う気象の異常
は、サイバーセキュリティと並ぶ
重要なリスク要因として
捉えられているとも言われています。
自然災害は、
忘れた頃に、突如としてやって来ます。
一難去って、
また一難が、決して望んでいないにもかかわらず、
いつ到来するとも限りません。
日ごろから
避難経路や地域の避難場所、
家族間の連絡手段など、
万が一への備えをしておくに
こしたことはありません。
小さな備えが、
いのちを守ることが
ありうると思います。
今後も発生しうる
未曾有の事態へ
みなさまのいのちと安全が
より確かに守られることを
心をこめて願っております。
長文最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
どうぞ他の記事も
ごゆるりとご覧ください。
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