はやぶさ2のスイングバイ観測はいつどこがいい?
先日の記事でご紹介しました「はやぶさ2」、
その向かう先である小惑星が「Ryugu(リュウグウ)」と
命名されたことで話題を呼びました。
そのはやぶさ2が「スイングバイ」を行う時期が
刻々と近づいています。
目次
スイングバイの目的は?
スイングバイとは、
惑星の重力を利用して、軌道を変更する方法を
さす言葉です。
出典:http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151014/
軌道変更:地球→リュウグウへ
この1年、ほぼ地球と並走する軌道で
飛行していたはやぶさ2は、
小惑星リュウグウへ向かう軌道に乗るために
地球の重力を利用して、軌道変更に挑みます。
はやぶさ2は、先月(2015年9月)に
イオンエンジンを少し噴射して、
地球へ向かう軌道に乗りました。
出典:http://mainichi.jp/graph/2015/10/16/20151016mog00m040020000c/002.html
その後、2015年12月3日に予定されている
スイングバイによって、軌道を大きく曲げて
リュウグウへ向かうことになります。
出典:http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151014/
そのための軌道修正が
11/3、11/26、(予備:12/1)に予定されており、
イオンエンジンの微妙な噴射を調整しながら、
最終的には、数キロメートル、速度は秒速数センチ
という単位で、いわば針の穴に糸を通すような
精緻なコントロールが実施されるようです。
惑星探査機の加速
スイングバイは、惑星探査機の
軌道を変更するだけでなく、
同時に加速も促します。
はやぶさ2は、これまで太陽に対して
秒速30.3キロで飛行していましたが、
スイングバイを行うことによって
秒速1.6キロ加速され、
秒速31.9キロメートルで
リュウグウに向かうことが見込まれています。
はやぶさ2の観測はいつどこがいい?
探査機が最も地球に接近するのは、
「日本時間の2015年12月3日19時7分頃」と言われています。
はやぶさ2は太平洋上空を通過するので、
日本からの観測が可能です。
ただし、明るさについては、あまり期待できず、
肉眼でとらえるのは厳しいとの意見も。
大きめの望遠鏡でチャレンジするのがよさそうです。
天文館や科学館などでは、
はやぶさ2のスイングバイにあわせて
観測会を実施するところもあると思いますので、
各館の今後のスケジュールを
チェックしておくのもよいかもしれません。
日本国内・世界各地の観測条件は?
今回のはやぶさ2の地球スイングバイ観測は、
日本周辺最も観測条件が良いことになるようです。
日本国内は、緯度が高いほうが観測条件が良く、
北海道の方が日没以降、探査機が長い時間見えます。
例えば、北海道・名寄では、
午後4時前には太陽が沈み、午後7時近くまで観測可能です。
観測条件は南に下がるほど悪くなり、
沖縄・石垣島は観測が難しいかもしれません。
太陽が沈むのが午後6時近くで、
沈んだ直後は空が明るいために
はやぶさ2の姿を捉えにくくなるためです。
海外では、最接近時、はやぶさ2は
ハワイ上空を飛行しますが、
この時間帯は惑星探査機が
地球の影(日陰)に入ってしまうため、
探査機に太陽が当たらず観測できません。
オーストラリアでは、
スイングバイ直後から観測可能である一方で、
欧州、北米での観測は難しいと言われています。
はやぶさの参考情報-ミッションや開発ストーリー
なお、
はやぶさ2のミッションについては、
以前の投稿でご紹介しています。
「はやぶさ2の地球スイングバイ時期は?打ち上げ動画も迫力満点!」
また、種子島宇宙センターより打ち上げられた際の
動画を含めたはやぶさ2の
開発ストーリーのダイジェストを
JAXAが公開している以下の動画で
鑑賞することができます。
はやぶさ2の輸送や、ロケットへの組み込み、
発射台の移動、発射のカウントダウンの様子など、
ハイライトの場面を迫力たっぷりの動画で観ることができます。
はやぶさ2の打ち上げに使われたH2Aロケットは、
発射時の爆発力と制御力をバランスよく獲得するために、
個体燃料と液体燃料の組み合わせによって推力を得ているそうです。
ロケットのスピードは、なんと秒速11km、
時速に換算すると約4万kmという
物凄いスピードで、青空を突き破っていく姿は圧巻です☆
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