毎年年末になると欠かせないのが
除夜の鐘ですよね?。

日本には「日本三大梵鐘」と呼ばれる鐘があります。
その全てが関西に集中しているということをご存知でしょうか?

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知恩院(東山区)
東大寺(奈良市)
方広寺(東山区)

特に知恩院の大梵鐘の大鐘(重文)は
よく知られており、大みそかには
除夜の鐘を待つ人々の長い行列ができます。

大綱、小綱を17人の僧侶が
「エーイ、ヒトーツ、ソーレ」の掛け声とともに、
上体を反らせて、力いっぱい大鐘を
打ちならす光景は、毎年恒例の名物となっています。

除夜の意味

さて、除夜(じょや)という言葉は、
「除日(じょじつ)の夜」という意味を持っています。

「除日」とは、旧年を除く日、
その年の一番最後の日、
すなわち大晦日のことを指します。

除夜の鐘は、そう大晦日につく、
ここまではなんとなくわかるのですが、
ここからが難問。

除夜の鐘では、108回鐘をつきます。

ところが、
子供たちから尋ねられると
大人でもとっさに答えにくいのが
この2つの質問。

なぜ、「108回」なの?

そもそも「煩悩」って、何!?

煩悩とは?

煩悩(ぼんのう)とは、仏教における教義の一つで、
身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働きをさします。

原語は、サンクリット語の「クレーシャ」。

この言葉には”心の汚れ”という意味があり、
仏教では人の苦しみの元が、
煩悩にあるとされているのです。

煩悩はどこから生まれる?

では、煩悩を生み出すものは何なのか?

煩悩の根源は「三毒」にあると言われます。
いわば、これが人間の諸悪の根源とされ、
①②③の3つを合わせて三毒と呼びます。

①「貪欲(とんよく)」・・・必要以上に求めること
②「瞋恚(しんに・しんい)」・・・怒りの感情
③「愚痴(ぐち)」・・・物事の正しい道理を知らないこと

何れも、
つつましく、穏やかに、
シンプルで美しく生きることとは
正反対のふるまいを指すことばですよね?

これら三毒による自己中心的な考え方を排除した、
煩悩のない世界を「涅槃(ねはん)」と呼びます。
「さとり」と同じ意味をもっていて、
修行僧はさとりの境地を目指して日々修業を行うのです。

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何故108回?

何故除夜の鐘を108回つくのかという点については、
諸説ありますが、一般的には
「108」というのは、煩悩の数と考えられています。

人間には、108の煩悩があるため、
その数だけ煩悩を払うために、
108回鐘をつく、というものです。

108の根拠について調べてみたところ、
様々な数え方があり興味深かったのでご紹介します。

{(六眼×三種)+(六塵×三受)}×二種

「六根」と「三種」をかけて「6×3=18」

六根とは、感覚を生じさせることで迷いを起こさせるもので、
それぞれに三種の感じ方があるとされる。

・六根:眼(げん)、耳(に)、鼻(び)、舌(ぜつ)、身(しん)、意(い)
・三種:好(気持ちがよい)・悪(不快)・平(どちらでもない)

さらに、
心をけがす「六塵」と「三受」をかけて「6×3=18」。

・六塵(ろくじん):色(しょく)、声(しょう)、香(こう)、味(み)、触(しょく)、法(ほう)
・三受(苦、楽、捨)

上で掛けたものを合わせ足すと、「18+18=36」

ここに、三世(過去、現在、未来)をかけると
「36×3=108」になる。

四苦×八苦のごろ合わせ

「四苦八苦」とはよくいったものですが、
人生の苦悩の根本原因である
これらの数字を足すと、108になるという説もあります。

四苦(4×9)と八苦(8×9)で、
「36+72=108」

・四苦(しく)(生、老、病、死)
・八苦(愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦と四苦)

12カ月+24節気+72候

1年の気候を月で合計すると12カ月。
これに、立春や大寒などの二十四節気
旧暦で5日間を一候として1年を分けた七十二候を足す。

「12+24+72=108」

見惑・修惑・境遇・十纏

倶舎宗では、煩悩を「見惑」(4つの真理をみることですぐに断たれる煩悩)と、
「修惑」(修行によって断たれる煩悩)に分ける。

取り上げられるのは、「見惑」の方。

見惑は10の根本煩悩に分けられ、
それぞれ3つの境遇(欲界、色界、無色界)があり、
その3つの境遇は4種類(苦諦、集諦、滅諦、道諦)
に分かれるそう。

根本煩悩(10)と境遇(3)と境遇の種類(4)を
かけ合わせると

「10×3×4=120」

で120となるが、ここから除かれるものがあり、
さらに修惑の三つの界を足すと「98」。

ここに、心を縛って修繕を妨げる十纏(じってん)を
加えて「98+10=108」となるという説もある。

出典:http://www.kyoto-np.co.jp/kp/special/omoshiro/shikake13_02.php

八百万の神にちなんだ考え方も

古くから日本では8という数字が、「たくさんの」という意味をこめて用いられる場面がありました。
例えば、八百万(やおよろず)の神さま。たくさんの神様があたりに無限にいらっしゃるという意味で用います。
同様に、煩悩の数が108と言われるのも、本当に108あるというわけではなく、
たくさんのという意味と同義で用いられるとの説もあります。

除夜の鐘をつくとどうなるの?

除夜の鐘は、煩悩の数だけ撞くと言われています。

このことから、一般的に108あると言われている
煩悩の数だけ鐘を撞きます。

除夜の鐘をつかないお寺もあるってホント?

しかし、必ずしも108回撞くわけではなく、
お寺によっては108回を超えて撞くところもあります。

なお、除夜の鐘は煩悩を払うという意味を込めて、
大晦日のうちに108回撞くのが通例と思われがちですが、
正式には、107回を大晦日のうちに、そして、残る108回目は
新年が明けてから撞くのが正式なんだとか。

これには、「その年の煩悩に煩わされないため」
という意味がこめられているそうで、なかなか意味が深いんですね。

さて、
除夜の鐘といえば、大晦日にお寺でつくものと思いがちですが、
東西本願寺では除夜の鐘は鳴らさない!
ということ、知っていましたか?

妙心寺、延暦寺など、仏教教団の本山でも「除夜の鐘」は鳴らされるが、
不思議と東西両本願寺は鳴らさない。「教義に合わない」というのが理由らしい。

東本願寺(真宗大谷派本山)にも、立派な梵鐘がある。阿弥陀(あみだ)堂の前に、1604(慶長9)年に鋳造された梵鐘があり、毎朝、日の出のころに鳴らされたり、儀式や法要、時刻を知らせている。

同派教学研究所員の竹橋太さんによると、そもそも、同派では108つの煩悩を除くという考え方をしないという。
「煩悩があると分かることが親鸞さんの教えで、煩悩を打ち消すことはありえない。だから108の煩悩を払うという思想がない。煩悩をなくすことがいいことだという答えを求めるが、答えを求める自分が煩悩なんだと。自分は煩悩以外の何者でもない。だから煩悩を絶つことはないのです」。

西本願寺(浄土真宗本願寺派)でも同様に、除夜の鐘を鳴らしていない。

出典:http://www.kyoto-np.co.jp/kp/special/omoshiro/shikake13_02.php

このことから、
108の考え方、そして、煩悩の捉え方そのものに関しても、
宗派によって様々な捉え方の違いがあり、
仏教の教義の奥深さを物語っています。

有名どころの除夜の鐘つきスケジュール

ちなみに、
冒頭で、日本三大梵鐘は(東大寺、知恩院、方広寺)で、
その2つが京都にあることをご紹介しましたが、
日本三名鐘(神護寺、平等院、三井寺)はすべて京都、滋賀に集中しています。

また、国内で知られる最古の梵鐘は「妙心寺」で
これまた京都にあります。

有名どころの除夜の鐘つきの様子は以下のとおり。

■妙心寺の鐘は国宝で、現在は宝物館に展示されている。
複製品があり、塔頭住職らが31日午後11時から90回、1日午前5時から18回撞く。
参拝者は見学だけで自分では撞けない。

知恩院では、午後10時40分から僧侶が撞き始める。
一般の参拝者は見学のみで、入場は同11時40分までに規制される。

■方広寺では108回まで参拝者も撞ける。

■「銘の神護寺」(右京区)では、鐘を鳴らしていない。

■「姿の平等院」(宇治市)は、約30年前に複製品を造り、
当日は午後11時半に南門から入る。
1打につき5、6人。本物の梵鐘(国宝)は宝物館に保管している。

■「音の三井寺」は、慶長年間鋳造の鐘を打つことができる。
午前0時前から打ち始める。冥加料は2千円で、人数制限はない。

出典:http://www.kyoto-np.co.jp/kp/special/omoshiro/shikake13_02.php

また、美しい鐘の音色に耳を傾けたい方にとって、
年末の京都はまたとない鐘楼スポット!

なお、最新の情報につきましては、
お出かけ前に各お寺のサイトにてご確認いただくことをおすすめします。

ぜひ行ってみよう!と思われる方は、
防寒対策をお忘れなく、どうぞあたたかくしてお出かけ下さい。

長文最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ぜひ他の記事もごゆるりとお楽しみ下さいませ☆

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